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【芥川賞受賞!コンビニ人間】カラダの半分が廃棄で出来ているコンビニ人間からみた本音の感想とあらすじ

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いらっしゃいませ〜

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僕のカラダの半分はコンビニの廃棄メシで出来ています。物心がつく前からコンビニの上に住み、いつのまにかコンビニ歴24年目のコンビニ経営者のさくさく(@pirorin39)です。

 

「コンビニ人間」とは?

タイトルやべぇ・・・

第155回芥川賞受賞作!

36歳未婚女性、古倉恵子。

大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。

オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。

日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。

仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。

ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが……。現代の実存を問い、正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。

(引用:文芸春秋BOOKSより)

まずタイトルだけでグイっと引き込まれました。コンビニ野郎と言われる僕が読まないわけにはいきませんよこれ。普段小説とか全く読まないのに一時間くらいでスラスラ読めちゃいました。 

村田沙耶香とは?

作家仲間からはクレイジー沙耶香と呼ばれるみたいです。

http://hon.bunshun.jp/mwimgs/8/d/250/img_f285b9aa761c2d3867adabbf6adcad3227739.jpg

 1979年千葉県生まれ。

玉川大学文学部卒業。

2003年「授乳」が第46回群像人文学賞優秀作となりデビュー。

09年『ギンイノノウタ』 で第31回野間文芸新人賞受賞。

13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞。

他の著作に『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』などがある。

 

村田沙耶香氏がコンビニバイトと芥川賞受賞について語る - ログミー

logmi.jp

 

そんなクレイジー沙耶香・・・ではなく村田沙耶香さんの書く独特な世界観の「コンビニ人間」です。

コンビニの実情、描写が上手く書かれている

実際にコンビニで働いている村田沙耶香さんだからこそ書けた作品になっています。

 

コンビニエンスストアは、音で満ちている

 

冒頭このように始まっていくのですが、

その描写がとにかく細かい。

とにかく細かい!!

 

コンビニに長く関わっているとわかることなんですけど、頭で考えるより体が反応することがよくあります。

 

例えば、コンビニに入店したときのリンローンって音と自動ドアが開く音に反応して「いらっしゃいませ」と自然に言葉が出てきます。

ドアが開いてもリンローンがならない時は外を通るお客さんに反応してしまっただけの場合が多かったりするんですよね。

これも細かすぎるけど、伝わってるのかな?

バイトに入ったばかりの子にはこの違いとかは中々わかりません。

 

何の音に反応して自分が行動しているのか、

僕自身は考えたこともなかったのですが

「コンビニ人間」では文章でその表現が上手く書かれています。

 

売り場のペットボトルが一つ売れ、代わりの奥にあるペットボトルがローラーで流れてくるカラカラ、という小さい音に顔をあげる。冷えた飲み物を最後にとってレジに向かうお客が多いため、その音に反応して身体が勝手に動くのだ。

分かるわぁぁぁぁ

コンビニは入っておにぎりや弁当、サラダ惣菜、スイーツ、ドリンクなど大体が決まったように配置されています。

ドリンクは大体最後に取ってレジにくるんですよ。

 

 

チャリ、という微かな小銭の音に反応して振り向き、レジの方に視線をやる。手のひらやポケットの中で小銭を鳴らしている人は、タバコか新聞をさっと買って帰ろうとしている人が多いので、お金の音には敏感だ。

めちゃめちゃわかるぅぅぅぅ

毎日スポーツ報知を買ってくあのおじさんは140円だけ握りしめ、小銭をチャラチャラならしながらコンビニにやってきます。

 

観察力のするどさと細かすぎて伝わらない「コンビニあるある」が

ただのコンビニ野郎には出来ない表現力で上手く文章化(言語化)されています。

 

コンビニ人間あるある

「コンビニ人間」の書かれている「コンビニあるある」をピックアップしてみました。

 

5千円の両替の話、

すぐ辞めてしまうアルバイト、

コンビニ店員のバカにされる感じ、

コンビニの変わっているのに変わらないと言われるとこ、

迷惑なお客さん、

事件があってもすぐ店が正常化される、

ベテランが辞めても何事もなかったかのように営業されるコンビニ、

ヘコんで売り物にならない商品を「ヘコ缶」と呼ぶ、

 

 

細かすぎて伝わらない内容もありますが、身近なコンビニだからこそイメージしやすいと思います。

 

色んなコンビニ人間がいる

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芥川賞で注目度も高いこの「コンビニ人間」なんですけど、

世の中には4種類の「コンビニ人間」がいることに気づきました。

 

バイト側のコンビニ人間

コンビニはバイトの人がいないと成り立ちません。

この小説の主人公になっている36歳未婚の古倉恵子は18年もバイトを続ける「コンビニ人間」です。

コンビニって普段から当たり前のように使っている場所なので、初めてのバイトとして選ばれる確率が高いですよね。

覚えることも少なそうに見えて、気軽に応募する人が多い傾向があります。特に深夜のバイトはジャンプを裏で読んでるイメージもあるみたいですが、そんなことはありません。

 

経営者側のコンビニ人間

オーナーや店長など店舗を経営しているタイプがこの「コンビニ人間」です。

本書では8人目の店長が登場します。この作品にでてくるコンビニは雇われ店長です。

主人公の古倉恵子は18年のコンビニでアルバイトをしているため、もはや経営側の感性も持ち合わせています。

 

本社のサラリーマンコンビニ人間

コンビニは本社とのフランチャイズ契約を結び店を営業しています。週の一回程度店を訪問する本部の社員の方がいます。社員さんも「コンビニ人間」の1タイプと言えます。

 

毎日のように通うコンビニ人間

住宅地なら年配の方や主婦、一人暮らしをしている人がこのタイプです。

歳をとりスーパーへの買い物が億劫な人、全く料理をしない疲れたサラリーマンなどが多いです。

名前はわからないけど、顔はわかる常連のお客さんも「コンビニ人間」と言えるでしょう。

 

主人公 古倉恵子の危なさ

幼き頃のエピソードは主人公古倉恵子の危なさを物語っています。

マジであぶないよ。この主人公

 

公園で青く綺麗な小鳥が死んでいるのを見つけると、
母に「これを食べよう」と言う。

http://naka-yurina.cocolog-nifty.com/blog/images/2007/12/05/dsc_0029362.jpg

 !!!

 

小学校の体育の時間に男子が喧嘩をしていると
「誰か止めて!」の声に反応し、
用具入れにあったスコップを取り出し
暴れる男子の頭を殴る

http://www.joy.hi-ho.ne.jp/vict/image1245.jpg

!!!!!!!

 

恵子は自分が悪いことをしてしまったと自覚はしているものの、どうしてなのかはわからない人間なんです。

 

親の呼び出しなどをされているうちに、

余計なことは一切口にしないようになり、そのまま大人へとなっていきます。

 

え・・・めちゃめちゃこわい人やん・・・

言ってることは分からなくはないことなんですけど、古倉恵子は自分には持っていない感性を持っているように感じました。

その自分には持っていない感性の頭の中を覗いているいるような気分になり、

イケないものを見ている気分にもなっていきます。

どっぷり浸かって行ってしまいますよ。

コンビニ人間になる

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主人公の恵子は道を間違えたことをきっかけにコンビニのOPENスタッフ募集を見つけ、コンビニ店員になります。

コンビニ店員としてしか生きられない恵子は気づいたら18年もの間コンビニでアルバイトをしており「コンビニ人間」へとなっていきます。

 

・マニュアル以外のことは、どうすれば普通の人間になれるのか分からない。

・話し方や服装、バッグまで他の店員から取り入れて自分を形成している。

・気づいたらコンビニのバイトは18年。

・夢の中でもコンビニのレジ打ちをし、仕事が休みの時でも荷物の納品時間だと思ったりする。

 

古倉恵子はそんな「コンビニ人間」なんです。

 

クズ人間 白羽(しらは)さんとの出会い

コンビニで働いているとどうしようもない人が働きにくることがあります。

 

今まで来たバイトのクズ人間

・レジの金を盗む女子高生

・その女子高生とカップルではないフリをしてアルバイト募集をし、採用され一ヶ月で妊娠させてやめてった男子高校生

・お客さんに手を出すイケメン(同意のもとだからずるい

・バックれ外国人

・どう見ても売れないバンドマン

・借金がいつになってもなくならないフリーター

・お客さんの買い物ポイントを盗む外国人

・子どもがいるのにお金を稼ぐ気が全然ない人

 

などなど結構変わった人とかがアルバイトに来ることがよくあります。

 

白羽さんはそんなコンビニバイトを代表するクズ店員です。

・仕事が出来ないくせに文句ばかり言う

・自分には向いていないと言い訳をする

・しかも縄文時代に例えて

・ルールを守らない

・遅刻多い

・ヒモになる

 

こんな特徴を持て合わせている本当にクズな人間です。

 

コンビニ店員は社会のお荷物なのか?

白羽さんはこの小説の中で、

「人生終了だよな、だめだ、ありゃ。社会のお荷物だよ。」

などと言われています。

 

実際働いている身としても、そういった見下した目で見てくるお客さんもたくさんいます。

たしかに先ほどクズ人間もいると言いましたが、そういった人ばかりではありません。

主婦で限られた時間をパートタイムで働いている人、真面目な高校生、昼はサラリーマンでダブルワークをする人など色んな人がいます。

 

特に見下して見られるのは夜勤です。酔っ払いにも絡まれます。

 

小売店や飲食店、流通関係などは何故か見下される現状が日本にはあります。

大手企業に入ることが普通で、それ以外は受け付けないんですかね? 

勘違いされる日常

コンビニでバイトをしている36歳の未婚女性。

それだけでワケありだと勘違いされてしまいます。

 

たしかにそんな人がうちで働いていたら、どういう人なのだろう?

ワケありなのではないかと頭をよぎることは間違いないでしょう。

突っ込んだ質問をして辞められても困るので、余計なことをしないのもコンビニ店長の特徴と言えるでしょう。

 

恵子は自分で、

「コンビニでなぜ働いているのか?」

という受け答えも出来ないので、

 

答え方も妹に、

「カラダの調子がよくない」

などの言い訳も考えてもらっています。

 

コンビニのアルバイトが何故いけないことなのか?

恵子にはこの答えがわかりません。

コンビニ経営をしている僕も何故なのか答えることが出来ません。

 

コンビニバイトってこんな言い訳をしなくてはいけないくらい世の中に認められていないことなんです。

 

ほかにも、 

彼氏でもない人と同棲してるだけでも結婚が近いと勘違いされます。

 

話した相手が勝手に想像を膨らませて、喜んだりします。

 

バイト=世の中の異端児、同棲=結婚といった、

普通の固定概念がどういったものなのか、

それは果たして正しいことなのか

など考えらせられてしまいます。

普通とはなんなのだろうか?

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 この本の帯に書かれていた

「普通」とは何か?

この小説は普通について考えさせられる作品です。

 

僕の家は自営業でしたが、周りの家はサラリーマンばかり。

サラリーマンになることが普通だと思い、

小さい頃は夢を聞かれると

「サラリーマンになりたい」と答えていたくらいです。

 

世の中は多数派が普通。

という傾向がありますが、

それは間違っていたとしても普通になってしまう気がします。

 

サラリーマンが普通で正解なのかというとそういうわけでもありません。

僕はサラリーマンも経験しましたが、自分のやりたいことが出来ないと感じてサラリーマンを辞めました。

 

 

自分にとっての普通は他人にとっての普通じゃないことがあります。

アメリカでは英語を話すのが普通ですが、日本では日本語を話すのが普通ですよね。

 

学校のテストにおいても僕は普通を目指していました。

成績は中の上くらいを目指してやっていましたが、

何の意味もないと気づき本気で勉強したら学年でトップ10に入りました。

「キモい」

などと周りの友達から言われることもありましたが、

キモいって言ってる人の方がよっぽど気持ち悪いと嫌悪感を抱きました。

 

世の中は異端児は受け入れない傾向にあると初めて感じた時でした。

 

世の中は普通を求める傾向がありますが、

普通にしていても何に刺激もなければ何にも面白いことを起こすことも出来ません。

 

世の中を動かすのはみんな異端児や変人だと個人的には思っています。

 

 

「コンビニ人間」は、

そんな普通について考えさせられる作品でした。

 

独特の感性で書かれているこの作品は身近なコンビニが舞台になっている非常に読み易く、考えさせられるものでした。

あとがき

僕は結構、無機質な人間だと自分で自覚しています。

 

何故そのように思うのか?

それはコンビニが無機質なものだから

人生の9割がコンビニと共に育ってきたせいか僕自身も無機質っぽくなっていると思います。物心がついた時から「コンビニ無機質人間」なんです。

 

コンビニは無機質でなくてはならない

今やコンビニは当たり前のように使われインフラとしての機能を持っています。

コンビニがなくなると誰もが不便になる世の中です。

 

公共料金の支払いや郵便物の依頼、ATMでのお金の引き下ろしなど毎日のように行われます。

 

一人暮らしの女性の住所だって電話番号だってわかってしまうこともあります。

計算すれば所得税とかから年収だって割り出すことも可能かもしれません。

 

コンビニって悪用すればとんでもないことになってしまうんですよね。

 

コンビニは生活に密着しすぎている。

だからこそコンビニ店員はロボットのように働き、無機質であるべきではないかと考えています。

 

僕の経営しているコンビニは常連客の方もいらっしゃいますが、

僕が経営していようがいなかろうがお客さんにとってはほぼ関係ないです。

地元でずっと愛され続ける八百屋や魚屋さん、飲み屋さんとはわけが違うんですよね。

 

最近ではセルフレジなどの導入も増えてきました。

 

コンビニの無人化も近いうち実現されていくでしょう。

 

一番気に入ったフレーズ

この本で一番好きなフレーズがあります。それは

コンビニの声が聞こえて来る

今さっきコンビニは無機質だと言ったばかりですが、

この作品ではコンビニをまるで生き物のように捉え、このような表現をしています。

 

主人公古倉恵子はコンビニのアルバイトを18年続けているうちにコンビニがなりたがっている姿、今お店に必要なことなどコンビニがどうなりたがっているのかが手に取るように分かるようになっていきます。

このことを「コンビニの声が聞こえてくる」といった表現で描かれています。

 

こういった表現を出来る人は本当に尊敬できます。

 

 

 ありがとうございました〜    

 

もし「コンビニ人間」の関係者が見ていればなんですけど、

文章に一部間違えもございましたとお伝えしたい。

P21の18歳→18年かと思われます。宜しくお願いします。

 

 重版もかかりまくって人気作品なので修正お願いします。  

 

なんのお願いだよ。 

作者の村田沙耶香さんに1日だけでいいからうちの店で働いてくれないかなー  

 

地元では「さくらいろーろん」と呼ばれるさくさくでした。  

  

▼高校時代部活で使っていたユニフォーム  

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